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help リーダーに追加 RSS 年末年始臨時増刊号 ― ブルートレイン「はやぶさ」篇

<<   作成日時 : 2008/12/30 21:20   >>

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2008年12月30日  

みなさま、

いろいろあった2008年も、そろそろ押し詰まって来ました。毎年この時期願うことでなかなか叶えられませんが、来年こそは良い年であって欲しいと思います。・・・って、まあ、年自体に良い悪いはなくて、人間が―国民が―我々が―良くしたり悪くしたりしているので、こう言い直した方が良いかな。・・・来年こそは良い年にしたいものです。


ところで、折に触れ、お送りしている京葉線さんからの鉄道紀行の寄稿による臨時増刊号。最近、鉄道づいてきているこのブログの本年の掉尾を飾る記事はブルートレイン「はやぶさ」搭乗記です。消えゆく寝台特急列車への哀惜と旅の楽しさが籠められた京葉線さんの筆が冴えわたります。・・・それでは、京葉線さん、どうぞ。


東京発最後のブルートレイン「富士・はやぶさ」が、来年3月のダイヤ改正で消えることになりました。新幹線0系のラストランに続いて、昭和の香りを残す伝統の列車の廃止は、なんとも寂しいものがあります。

「青い寝台特急列車」ブルートレインがデビューしたのは、ちょうど50年前の1958年でした。20系といわれる新型の寝台客車が東京・博多間を結ぶ「あさかぜ」に導入され、その斬新な車体と冷暖房完備など当時の最高峰の豪華設備が好評を博し、「走るホテル」と称えられました。

ちなみに、「あさかぜ」は松本清張の推理小説「点と線」にも登場して一躍有名になりましたが、この小説は1957年の作品なのでブルートレインではありません。ブルートレインのピークは1970〜80年代で、最盛期には東京発だけで毎日10本以上の列車が西に向かって出発して行きましたが、その後は、新幹線のスピードアップや航空機の大衆化、さらには車両の老朽化などにより、次第に競争力を失って衰退の道を歩むこととなりました。ブルートレインの代名詞とも言われた「あさかぜ」が廃止されたのは2005年でした。

さて、「はやぶさ」がブルートレインとして東京・西鹿児島間(鹿児島本線経由)に登場したのは1960年で、全盛期には食堂車やロビーカーを含む15両の堂々たる豪華編成を誇り、同じ東京・西鹿児島間(日豊本線経由)の「富士」と日本最長距離の1,2位を競う列車でした。現在の「はやぶさ」は編成もわずか6両、運転区間が熊本までに短縮され、九州の門司までは「富士」とコンビを組んで併結運転となっています。乗車率も低迷し、もはや風前の灯といった状況は否定できません。

「富士・はやぶさ」の廃止は1年以上前から取りざたされ、一部の新聞では「来春に廃止」の報道もされていました。実は小生、これまでに「北斗星」(上野・札幌間)や、「トワイライトエクスプレス」(大阪・札幌間)には乗車したことがありますが、九州行き寝台特急は未体験でした。今しか乗る機会がないということで、意を決して(?)、少し早い「なごり乗車」を体験してきました。

12月15日(月)。東京駅大丸の地下で弁当類と飲み物を調達。これを怠ると翌朝まで飲まず食わず状態に陥ってしまう。現在の「はやぶさ」には食堂車は連結されておらず、車内販売も翌朝の徳山からとなっている。

17時21分。東京駅10番線に品川方面からEF66形電気機関車を先頭に、大分行き「富士」編成6両、熊本行き「はやぶさ」編成6両、計12両のブルートレインが入線してきた。出発時刻より40分以上も早い入線は機関車の付け替え作業のためである。いったん神田方面に引き上げられたEF66は隣の9番線を通ってもう一度10番線に入り、「はやぶさ」編成の前に連結される。この作業を見ようと20人ぐらいの鉄道ファンがカメラを携えて集結していて、やはりこの列車の注目度は高まっているようである。

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@一夜をともにする「はやぶさ」の2号車A寝台。

18時03分。ガクンという客車特有の軽い衝撃を感じて発車。はるか九州への旅路の始まりである。今夜の「宿」は奮発してA寝台シングルデラックス。個室の売れ行きは好調のようで、切符が取れたのはラッキーである。2号車A寝台は進行方向右手に通路があって、海側に個室が14室並んでいる。ベッドは枕木方向に置かれ、テーブル兼用の洗面台が設置されている。狭い。(入ったことはないが)まるで独房のようである。この車両は30年以上も前の製造で当時としては「デラックス」だったのだろうが・・・
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A個室内はこんな感じ。

発車後まもなく、懐かしい「ハイケンスのセレナーデ」のオルゴール音に続いて、車掌の案内放送が始まった。自己紹介によると担当車掌の所属はJR西日本・下関乗務員センターだという。下関までの長時間乗務ということになる。驚いたのは、「本日は大阪までのお客様がいらっしゃいます」とのアナウンス。大阪着は深夜の1時過ぎだが、「なごり乗車」組なのだろうか。 高い寝台料金を払って・・・
「はやぶさ」の楽しみはいろいろあるが、
A. 3種類の電気機関車によるリレー、
B. 瀬戸内海の夜明け、
の二つは東京発の寝台特急でしか味わえない列車旅の醍醐味だと思う。
弁当の夕食後、室内灯を消してしばし暗闇の車窓を眺める。根府川付近で見える相模湾越しの三浦半島の夜景が美しい。
横浜を出て熱海、沼津、富士、静岡・・・各駅で乗客を拾って行く。ベッドで文庫本を読んでいるうちに、いつしか眠りに落ちてしまった。

12月16日(火)。車掌の「おはよう放送」で起こされた。時計を見るとジャスト6時。昨夜、岐阜付近で徐行区間があったため列車は約6分遅れという。まもなく山口県の東端、岩国だ。12月の瀬戸内海の日の出は遅く、外はまだ漆黒の闇である。列車はこのあと柳井、下松、徳山、防府と山陽地区の中都市にこまめに停車する。「はやぶさ」のダイヤを見ると、東海地区と山陽地区はともに有効時間帯であり、そこそこの需要があるのだろう。
7時少し前、下松駅到着の前後でようやく夜が明け、小さな島々が点在する瀬戸内海が水墨画のように浮かび上がってきた。予報通り快晴のようで一安心。海岸線を離れ、内陸部に入ると田畑に朝靄が立ち込めている。昨夜は冷え込んだのだろう。
徳山から車内販売のおばさんが乗車して来たので、コーヒーを買う。久し振りに美味いコーヒーを飲んだ気がした。徳山から防府までは海岸線を走る区間が多く、山陽本線屈指の絶景が続く。とくに戸田・富海間では車窓風景にくぎ付けとなった。

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B周防灘に朝日が昇った。徳山・防府間。

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C2号車の内部。左側に個室が並ぶ。

8時39分。7分遅れで下関に到着。機関車の付け替えのため、ここで6分停車する。
急いで下車し、小走りに機関車に向かう。東京から長駆走り続けてきたEF66は任務終了。

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DEF66は下関でお役御免。お疲れ様でした。

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EEF66が切り離されたあと、「はやぶさ」のヘッドマークが見えた。

代わって第2走者EF81形が門司方面から近づいてきた。このEF81は関門トンネル専用機で塩害対策が施されているという。わずか8分の任務だ。

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F下関・門司間を担当するEF81。ヘッドマークは付いていない。

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G2号車の表示灯。

列車はいよいよ九州路へ。
8時54分。8分遅れで門司到着。

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H門司駅で「富士」、「はやぶさ」は分割される。(実際の分岐駅は次の小倉)

「はやぶさ」の先頭に立ったのはアンカーのED76形電気機関車で、「はやぶさ」の単独ヘッドマークが輝いている。
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I接近してきたEF76(門司駅)

門司では「はやぶさ」が先に発車し、「富士」の発車はその11分後となる。

「はやぶさ」は小倉に10分遅れの9時15分に着いた。まだ通勤通学時間帯であり、小倉・博多間は俊足の電車特急が走る区間でもあるので、さらなる遅れが心配される。(時刻表では「はやぶさ」は小倉・博多間で同じ特急の「ソニック」に追い越される設定になっている)

様子を見ていると、後続の特急「ソニック」が先に出発して行った。この場合、「はやぶさ」は途中駅で「ソニック」の通過待ちをする必要がなくなるので、遅れを取り戻すことが可能となる。
思った通り、博多にはわずか4分遅れの10時14分に到着。「はやぶさ」は遅れを取り戻すべくラストスパートをかけ、久留米、大牟田と筑後平野を南下。車窓からは九州新幹線の建設工事が急ピッチで進められているのが見える。2011年春の開業予定だ。

11時49分、「はやぶさ」は時刻通りに熊本駅3番線に到着。

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J熊本駅に到着した「はやぶさ」。

約1,300キロ、18時間に及ぶ長い旅は無事終わった。航空機を使えばわずか2時間弱の旅、「はやぶさ」の旅など、時代遅れと一笑に付されてしまいそうだが、旅情を楽しむという点では贅沢の極みと言えるのではないだろうか。

京葉線でした。



京葉線さん、18時間の乗車、お疲れ様でした。
う〜ん、いいですねぇ。海外に旅行するのに、飛行機で行くより客船で行く方が贅沢というのと同じで、新幹線で行くよりブルートレインで行く方が贅沢と言うのは分かる気がします。これで食堂車が付いていたら、更にリッチな気分が味わえたでしょうが、そこまでは無理というもの。

また、次の鉄道紀行をお待ちしています。


Nick@Have a Great New Year!

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