上野の花篇(その3)

2009年4月15日  

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国立西洋美術館の前庭に咲いていた「枝垂れ桃」。(他ではあまり見かけない。)


先週は、晴れて暖かい日が続きました。まさに春爛漫の日々。お蔭で、関東地方のソメイヨシノは週末までに大半は散ってしまいましたが、それでも残った桜のはなびらが、そよ風にひらりはらりと落ちて来る様は風情があります。

この暖かさにその他の花たちも一斉に咲きました。嬉しい春です。


先週末の日曜日は、またまた「文化的な」一日を過ごしました。

まず、朝8時に家を出て上野に向かいました。9時半に開場の国立西洋美術館で開催されている「ルーヴル美術館展」を見るためです。(新聞屋さんにチケットを貰ったものでね。因みに、主催者の命名は「ルーヴル美術館展」で、「ルーブル」ではありません。)

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9時15分に到着すると、(当然のことながら)門前に列が出来ていましたが、それが前に動き出したところ。

会場の入り口で「音声ガイド」(500円)を借りる。今回のナレーションは中尾彬さんか。(どうも、中尾さんというと、昔見た映画「内海の環」で岩下志麻さんと不倫した挙句殺してしまう役が思い出されてしまう。まあ、個人的な思い出なので、本人に悪いところはないんですが。)

今回ルーヴルから来ているのは、17世紀のヨーロッパの絵画作品が全部で71点。その中で特に知名度が高いのは
・フェルメールの「レースを編む女」(ポスターでもこれがフィーチャーされている)
・ラ・トゥールの「大工ヨセフ」
・レンブラントの「自画像」
・ルーベンスの「ユノに欺かれるイクシオン」
などなど。

いずれも日本で、タダで(電車代だけで)見ることが出来て眼福、眼福。

以前、上野の花篇(2008年9月19日のブログ記事)で書きましたが、当方これまでフェルメールの実物を見たのは13点。今回が14点目で、何とか現存する作品の半分は越えましたが、まだ前途遼遠です。

「レースを編む女」は比較的小さい絵。画面中央でレースを編んでいる女の人は、顔を俯けて一心に仕事をしていることもあって、表情が今一つ良く見えない。この女性は、黄色い衣服を着ており、光も当たっているので目立つのだけど、顔は少し影になっていて、描き方も少し雑のように見える。

見る人の視線は、その女性の作業している両手、から、その指先とレース、そして画面の中央から左下にかけて色とりどりのレース糸が舞い踊り、流れているのに誘導される。

編んでいる女の人はどちらかと言うと添え物、と言うのは言いすぎかな。フェルメールと言う人は、ここぞと言うところは緻密に描くけれど、自分がどうでも良いと思った部分については、通り一遍なことが多い。この絵では、レース糸が主役なので、女の人はテキトーのように当方には感じられた。

ルーヴル美術館がらみでは、この時期東京で二つも展覧会が開かれている。
・この「17世紀ヨーロッパ絵画」、と
・国立新美術館の「宮殿の子供たち」(こちらは約200点。但し、絵画だけではない。)
これだけ持って来てもルーヴル自体はビクともしないのだろうな。「モナリザ」があるしね。


腹ごしらえをした後、
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上野の山で西郷さんにご挨拶し、その先にある清水観音堂にお参りをして、ご本尊の千手観音様にいろいろお願いをする。

この辺は、日本語ではない言葉が行き交っている。
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観音堂の前の見事なしだれ桜をバックに記念写真を撮って貰っている、このお嬢さんも中国語でした。

不忍池の畔に下りる。
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池の蓮の葉や葦は、刈られたせいか、それとも今はそういう季節なのか、随分少なくなったように見える。池の周辺には八重桜が何本も咲き競っていて、そぞろ歩く人たちの目を楽しませている。

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やえべに とらのお

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紅華


さて、次の目的地は溜池山王。

サントリーホールで、14:00から小林研一郎さん指揮の日本フィルによるベルリオーズの幻想交響曲他がある。「炎のコバケン」がどう燃えるか、見もの、聴きものです。

このコンサートでは、コバケンさんがステージ上で曲目の解説をしてくれました。
その内容は、例えば、
・ベルリオーズのオーケストレーションのうまさ。
・ベルリオーズが受けた4大ショックのこと。
  ベートーベンの死、
  シェークスピアの劇を見たこと、
  その時に女優のハリエット・スミスソンと巡り逢って恋に落ちたこと、
  (もう一つはゲーテの詩を読んだ時だったか?)
 ご存知のように、「幻想」はベルリオーズとスミスソンの係わり合いから
 生まれた作品。
・「このベルリオーズが活躍した頃は、彼とともに、リスト、シューマン、
 メンデルスゾーンという錚々たる人たちが同時代で生きて作曲していた時代。
 自分ももう少し早く生まれたかった。」(笑)
・幻想交響曲のイデー・フィクス(固定観念、固定楽想、つまり恋人の旋律)の
 楽章ごとの響き、ニュアンスをオケで聴かせてくれる。これは指揮者だから
 出来ること。
 また、その旋律のすぐ後に出てくる弦のざわめきを心臓のときめきの音に
 なぞらえて説明する。な~るほど。
・「幻想交響曲がベートーベンの第九初演の6年後に初演された、なんて、
 思えますか?」というご指摘にはちょっと虚を突かれた。(そうかぁ。
 「幻想」ってもっと新しい曲かと思っていました。)

コバケンさんの真面目な話しぶりが、壮大な交響曲の楽しいイントロになりました。

「幻想」は、コバケンさんのエネルギッシュな指揮ぶりに日本フィルも感応して大熱演。(そうだ、思い出した。友人の Yassheeさんが、聴きに行ったコンサートでのコバケンさんの奮闘を評して「いつも以上に髪を振り乱して熱演・・・」と言っていたのが、これにもそのまま当てはまる。)
4楽章、5楽章で若干アンサンブルに乱れがありましたが、勢いでカバーし熱狂的なラストに怒涛のように突き進み、最後のトゥッティで圧巻の締めくくりを見せる(聴かせる)。

コバケンさんの解説にもありましたが、確かに、最後の部分では高らかなファンファーレに明るさが見られ、何がなんだか分からないけれど問題は解決したみたいだな、と思わせる。

湧き上がるブラポー、ブラボーの声。そして拍手、拍手。

アンコールはカバレリア・ルスティカーナの間奏曲。そして、更に大サービス、「幻想」の第5楽章の最後の40秒間をもう一度再現してくれました。大満足。

何回ものカーテンコールの後、最後に、コバケンさんと日本フィルの一同が聴衆に深々とお辞儀して解散。(アマチュアのオケでは時々見かけますが、プロのオケではあまりやらない。)いやー良かった。


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サントリーホールの前、カラヤン広場の上で咲いていた花。


Nick@幻想にひたる

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この記事へのコメント

夜の梅子
2009年04月22日 22:03
ちょっとお出掛けをしてもこんなにたくさんのお花と出会えるのですね。
今回上野のルーヴルは、このリストを見る限り色味が暗い雰囲気の絵が多いのでしょうか?
ラ・トゥールは、数年前日本に来た時にH.Hさんと見に行きました♪
最近は、娘を連れてあの厳かな雰囲気の美術館へ足を踏み入れる勇気がありません・・・。
Nick
2009年04月23日 15:39
夜の梅子さん
コメントありがとうございました。

今回ルーヴルから上野に来ている絵画71点の国別内訳点数は数えてみないと分かりませんが、どちらかと言うと、オランダ、フランドル、ドイツという西欧でも北寄りの国の作品の方が、イタリア、(一部フランス、)スペインのラテン系(南欧)より多い、という印象です。
一概には言えないとしても、前者の渋め、暗めの色に対して、後者は派手め、明るめの色を多用しますので、仰るように、今回の展示作品の平均的色調は暗めに抑えられている、と言えると思います。

そうそう、ラ・トゥールのポスターを数年前見た覚えがありますので、「また来た」のですね。

お嬢さんを連れて行かれる時には、
・H.H.さん+お嬢さん ⇒ 上野動物園
・梅子さん ⇒ 美術館
と分科会に分かれ、2時間後に
・三人合流 ⇒ 噴水の前
と言うのもありかな、と思われます。


夜の梅子
2009年04月24日 16:07
素敵なアドバイスありがとうございます!!!
そういう手がありましたね☆
近々実行したいと思います(^^)♪
まーちゃん
2009年04月28日 12:57
ほんっとうにお花が綺麗ですね。
春の花が少しづつ眠り始めて夏の花が育っています。
<ウチのプランターでは向日葵が「芽」から「苗」に育っています。
春は心身共に少し調子が狂うのですが私も初夏に向けて元気にならなきゃ!ってお花さん達を見ると思います。いつも素敵な写真をありがとうございます♪
Nick
2009年04月30日 09:31
まーちゃん  
コメントありがとうございます。
仰るように、春も後半戦から初夏に移ろうというこの時期、次から次へ花が開いていますね。数日見ないと新しい花が咲いているので、心うきうきしてきます。
ゴールデンウィークも概ね晴天が続くようで、どこかに行楽に行くにも、近所を散歩するにも、今の時期は暑すぎず寒すぎず、気持ちの良い季節で最高です。
(当方、このところちょっと公私共に忙しくてブログ記事が滞っているのが心苦しいです。頑張って、今週中には新しい記事をUPするつもりですので、また見にきて下さい。)
Nick

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