年年歳歳花相似 篇

2011年4月10日  

明日で3月11日の大地震・大津波の発生から1カ月となります。新聞やTVで特集を組んでいて、漸く大震災の全貌が明らかになってきた感がありますが、それらを見れば見るほどこの大震災が残した惨状と死亡者数・行方不明数に暗澹たる思いがします。しかし、暗い気持ちでいるだけでは何も起こりません。現状をしっかり見つめ、自分で出来る支援を考える、そして粛々とそれを行う、と言うことかと思います。

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今年ほど、劉廷芝の唐詩「代悲白頭翁」が深く心に響く年はありません。

  年年歳歳花相似   年年歳歳 花は相似たり
  歳歳年年人不同   歳歳年年 人は同じからず

  (ご参考まで、詩の全文(Wikipediaから)をこの記事の末尾に貼ります。)

周りを見ると、桜が満開を迎えようとしている。昨年、見た桜と同じ木、同じ風情ですが、それを見る私たちは変わっている。昨年、同じ桜を見た人は、もういないかも知れない。同じ人が見ていても、心の中が変わっている。とりまく環境も変わっている。なかなか心おだやかに、花の美しさを見ることが出来ない。また一方で、心の騒ぎを花が静めてくれることを期待しながら見入る。
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前回に続いて、S君(当方と大学が同期で、仙台で高校の英語の先生をしている)のメールが届きましたので、以下に掲載します。

前回の終わりに、当方からメールで、「息子さんご一家は紙一重で助かったのですね。本当に良かった。と言っても、不幸中の幸いですが、ドラえもんには感謝しないと。(それと、見に行きたいと言ったお孫さんにも、ですね。)」とコメントしたことに対する返信です。


(S君からのメール)

  ドラえもんは、その昔我が家の年中行事でした。息子たちが、今家に来ている孫たち
  位の時から、毎年息子と三人でドラえもんを見に行っていました。帰りに新学期の用品
  を買いそろえたり、年に一日女房が子育てから少し解放される日でもあったわけです。
  この行事は上の子が大学生、下が高校生になるまで続きましたが、あることが
  きっかけで終わりました。ドラえもんとかの映画は見に行くと、何かおまけをもらえる
  のですが、私たち三人とも大人と言う理由で、ドラえもんのキーホルダーがもらえ
  なかったのです。それで次の年からは行かなくなってしまったのですが、その伝統が
  受け継がれて行ったと言うことです。

  息子の家付近の写真です。
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  水道の蛇口が、なぜか残っていました。

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  次は息子の家。

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  それと近くの建物です。地震の時間がわかります。地震、津波から3日後くらいの
  写真です。死体が写らないように工夫して撮ったらしいです。

  首都圏直下型がしばらく先になるよう祈ってます。マンションで暮らしている人は、
  計画停電の間は歩いて上り下りするのでしょうか? 何十階もある所の人は
  どうするんでしょうか。水の確保とか大変でしょうね。職場の近くのマンションでは
  給水タンクが傾いていました。都知事さんの天罰発言が話題になりかけましたが、
  馬鹿の壁的にはわかるような気がします。日本人は水と安全はただだと思ってると
  言う言葉も昔聞きましたね。 地震の年間エネルギーの総量は台風一個分より
  ゼロが一つ少ないそうですが、今回は地震の勝ちかも知れません。

  若い連中の邪魔をしないでかつ少しは存在感を示して、もう少し元気でいたいもの
  です。HPは仕事で少しやりましたが、ブログは本を買っただけ、ツイッターは横目で
  見てるだけです。Nickさんの若さには脱帽です。


いえいえ、毎回、はあはあ、ぜいぜい荒い息をしながら何とか書いている状態で、とても若さなどはありません。まあ、読んで下さる人が一人でもいる間は、書き続けたいと思っています。

しかし、S君が送ってくれた写真は当方に衝撃をもたらしました。それまでは、TV、新聞で同じような画像を見ても、正直言って何となくワンクッションがあったのですが、友人のご子息の家が土台だけ残っている、と言うのは、ショッキングで全く他人ごとではありません。みなさん、当方もそうしますが、是非支援を「継続」しましょう。


ところで、ネットを見ていると、様々な震災関連のニュースが流されていますが、その中で、当方がちょっと気になったのが、下記の記事です。

2011/04/7 YAHOO 記事より

  日本経団連の米倉弘昌会長に、東日本大震災が経済に与える影響、今後の
  エネルギー政策、福島第1原子力発電所の事業会社である東京電力に対する
  思いなどを聞いた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の単独インタビュー
  に応じた。

  WSJ:当局への不信が国民にみられる。東電の責任問題、情報公開問題はどうか?

  米倉氏:一生懸命やっている。考えられていないが、東電自体が被災者だ。従業員が
   津波に流され、機器も津波に流されているところがある。そういったなかで一生懸命
   努力をしている。政府としては、東電が最大限努力しやすいような環境を作るべきだ
   と思っている。いろいろ見ていると、政府の内部で考え方が食い違ったりしており、
   非常に憂慮している。

  WSJ:東電は甘かった?

  米倉氏:甘かったということは絶対にない。要するにあれは国の安全基準というのが
   あって、それに基づき設計されているはずだ。恐らく、それよりも何十倍の安全
   ファクターを入れてやっている。東電は全然、甘くはない。


経団連の会長さんなので、日本の産業界全体のことも考えてのご発言とは思いますが、それにしても、「東電は全然、甘くない。」ってきっぱり言い切って良いものでしょうか。

東電も被災者と言うのは、分かります ― 実際、設備はかなりのダメージを受けており、社員の方も何人か亡くなっているし、特に福島第1原発の現場にいて災害に遭遇したり、また復旧作業に従事されている関係者の方々の御尽力には頭が下がります。しかし、幹部の今回の事故への対応や現状認識には、失望せざるを得ません。

当方の古い友人で、以前東電の内部事情を知る立場にいたY君からのメールには、以下のような another view が書かれていました。ご参考まで。

  夜7時のNHKニュースで原子力部門?の解説者が地震によって非常用電源が
  失われて云々といっていますが、正確には津波によってです。
  地震の規模は想定外ですが、津波については原子力安全委員会の一委員の
  先生?だったか、警鐘を鳴らしていた(シミュレーションで敷地高以上の津波が
  来る)人がいたと思います。
  (極端な言い方だけど、東電は、いろいろ材料を揃えて(理屈武装して)原子力
  安全保安院と一緒になって、委員を説得する。作文をいかに旨く作るかが
  東電キャリアーの仕事の多く)。想定内だったはず(分かっていたはず)。
  原因を摩り替えていると私には思えました。

極端な言い方としても、東電のやり方にそういう面がなかった、とは言えないのではないか。

4月9日の段階で、漸くニュースで「経済産業省の原子力安全・保安院は『これまでの対策は不十分だった』と不備を認め、非常用の発電機をはじめとした安全対策を見直す必要があるという認識を示しました。」と伝えられ、改善の方向性が出されましたが、これだけ大きな事故が起きてから/起こしてから、約1カ月経ってからのこの認識は遅きに失した感が否めません。願わくは、迅速なリカバリーを実現して欲しい。

___________________________

代悲白頭翁      白頭を悲しむ翁に代わりて

洛陽城東桃李花   洛陽城東 桃李の花
飛來飛去落誰家   飛び來たり飛び去り 誰が家にか落ちん
洛陽女児惜顏色   洛陽の女児 顏色を惜しみ
行逢落花長歎息   行き逢う落花に長歎息す
今年花落顏色改   今年 花落ち顏色を改め
明年花開復誰在   明年 花開いて復た誰か在らん
已見松柏摧爲薪   已に見る 松柏摧れて薪と為るを
更聞桑田變成海   更に聞く 桑田變じて海と成るを
古人無復洛城東   古人また洛城東に無く
今人還對落花風   今人また落花風に対す
年年歳歳花相似   年年歳歳 花は相似たり
歳歳年年人不同   歳歳年年 人は同じからず
寄言全盛紅顏子   言を寄す 全盛の紅顔子
應憐半死白頭翁   應に憐れむべし 半死の白頭翁
此翁白頭真可憐   此の翁の白頭 真に憐むべし
伊昔紅顏美少年   これ昔 紅顔の美少年
公子王孫芳樹下   公子王孫 芳樹の下
清歌妙舞落花前   清歌妙舞 落花の前
光禄池臺開錦繍   光禄池臺に錦繍を開き
將軍樓閣畫神仙   將軍樓閣に神仙を畫く
一朝臥病無相識   一朝病に臥して相識るなく
三春行樂在誰邉   三春行樂 誰が邉(ほとり)にか在る
宛轉蛾眉能幾時   宛轉たる蛾眉 能く幾時ぞ
須臾鶴髪亂如絲   須臾にして鶴髪は亂れ絲のごとし
但看古來歌舞地   ただ看る 古來歌舞の地
惟有黄昏鳥雀悲   ただ黄昏 鳥雀の悲しむ有るのみ
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Nick@春爛漫

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