歌舞伎 篇

2008年5月29日(木)  

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この時期、木陰にひっそりと咲くユキノシタ(勤め先の近くです)。
でも、どうして5月に咲く花に「雪の下」なんて福寿草みたいな名前がついたのかな。一説によると、花弁が白くてまるで「雪の舌」の様だから。・・・ってあまり説得力ないなぁ。
もう一つ、ユキノシタ(こちらは家の近所です)。
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相変わらず天気が変わりやすいですね。

先週、ウィークデーの間は五月晴れと言っても良い爽やかな天気が続いて喜んでいたところ、土曜の午後から日曜にかけて(天気予報が的中して)ざあざあ降りの雨で気温も上がらず、鬱陶しかったのが、今週月、火、水と暑くなりました。特に月、火は、ともに気温が27~28℃まで上がったそうで、もう完全に夏。ところが木曜日は雨で気温は20℃まで行かないくらい。
上がり下がりする気温のせいで、当方少し風邪気味です。喉が痛い。咳も少し出る。月曜日の朝、週の初めなので気合を入れようと、総合感冒薬の錠剤をユンケル黄帝液で喉に流し込んで、「これでどうだ!」と出陣しました。そのためか、今のところ何とか持っていますが・・・。

さて、この一ヶ月間は、当方、歌舞伎に少々縁がありました。
手始めは、4月27日に「窯変源氏物語(玉鬘)」の舞台朗読を鑑賞(シアター1010)。
主演?主読?は名取裕子さんでしたが、中村翫雀さん、中村壱太郎くんという歌舞伎界の重鎮、若手が脇を固めて聴き応えがありました。さすが歌舞伎のお二人は姿勢、発声が良い。

その後、5月4日新橋演舞場で「5月大歌舞伎」を観る。出し物は、
・彦山権現誓助剱 毛谷村
・舞踊三題  藤娘、三社祭、勢獅子(きおいじし)
・一本刀土俵入
ここでは、亀治郎、染五郎ら若手の熱演、福助(藤娘)の艶やかさ、吉右衛門(駒形茂兵衛)の温かみのある演技が見もので、特に一本刀では「・・・十年前に櫛、かんざし、巾着ぐるみ意見をもらった姐さんにせめて見てもらう駒形の、しがねぇ姿の横綱の土俵入りでござんす。」の台詞を久しぶりに、それも吉右衛門丈で聞けて、嬉しかった。

先週は、同じ日に新宿コマ劇場で「コロッケ」の舞台を見て、そこから東銀座の歌舞伎座に駆けつけて「團菊祭」。えっ、なんでコマ劇場の「コロッケ」が関係するのかって。
 → もちろんコマ劇場があるのが歌舞伎町だからですよ。ま、それは冗談として・・・

コロッケの座長公演、前半は芝居(喜劇)で「愛さずにはいられない」。
昭和40年代?の川崎で母と同居するコロッケは定時制高校に通うちょっと抜けた大工さん。素直でシャイで優しい男だけれど、ルックスの問題もあって35歳でもまだ独身(見合い経験12回)。高校の数学の先生に憧れているのですが、真面目な先生はコロッケの熱い視線に全然気が付こうとしない。大空眞弓(母)と池上季実子(先生)ら、達者な脇役陣がコロッケを盛りたてる。どちらの方も久しぶりに見た。
(どうでも良いけど、コロッケをチラシやスクリーンで Croket って表示していた ―― コロッケを辞書(和英)で引くと (仏)a croquetteと出てくる。Crocket で引くと Crockett, Davy [David] で出てくる。そうか、TDLにある手漕ぎカヌーで日本でも少し知られているデイヴィー・クロケットはコロッケだったのか。でも croket という単語は出てこない。これは造語かな。)

後半(第2部)はコロッケ・オン・ステージと題して、十八番のモノマネと歌。郷ひろみから始まって、森進一、野口五郎、堀内孝雄、淡谷のり子、美空ひばり、北島三郎、そして勿論、美川憲一など、次々と繰り出すこのモノマネは誰も超えられない。
唯一、気になったのは、コロッケが時々自分で笑ってしまうこと。(それだけ暖かい人柄だと思うのだけれど、)人を笑わすには自分から笑ってしまうのはチトまずい。
・・・という点はありましたが、大いに笑えた。全体で合格点。

最後は、真打、歌舞伎座の「團菊祭」(明治の二名人、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎を偲んで毎年5月興行は團菊祭と銘打たれている・・・ので、当然当代の團菊が主役を張る)の夜の部ですが、歌舞伎の美、役者の華を堪能しました。

出し物は、「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の通しと舞踊、三升猿曲舞(しかくばしらさるのくせまい)の二本。
青砥稿・・・は「浜松屋の場」で弁天小僧が武家のお嬢様に化けて強請りをはたらくところから、稲瀬川で白波五人男が勢ぞろいをするところまでが最も有名で、その部分だけを抜き出して上演されることが多いですが、今回は通し狂言、つまり最初から最後まで全三幕九場が通しで上演されました。(当方、通しを劇場で観るのは初めてかも知れない。)
團菊の配役は團十郎の日本駄右衛門、菊五郎の(待ってました!)弁天小僧。

この青砥稿・・・は、「勧進帳」と並んで当方が大好きな歌舞伎演目ベストスリーにランクインするものです。全ての場面の彩りがきれい、艶やか、また七五調の台詞が素晴らしい。ストーリーは歌舞伎らしく良く言えば大らかな、ご都合主義、もっと言えばいい加減、(更に黙阿弥らしく)他人と思っていたのがある切っ掛けで親子だった、ということが判明するのはざらだし、因果応報、どんなに魅力的でも悪人は最後に必ず非業の死を遂げる。(例えば、弁天小僧は極楽寺の屋根で捕り手に囲まれて立ち腹を切る。) その点では勧善懲悪で分かり易い。

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歌舞伎座の入り口、開場前の様子。
もう少し近寄って表の立て看板を見てみよう。こちらは写真を使い...
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こちらは、各演目を浮世絵風に描いた看板。
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弁天小僧、浜松屋での強請りの図。
これと「勢揃い」までを二幕でやるときには、弁天娘女男白波(べんてんむすめめおのしらなみ)の外題になる。(6月30日から7月31日まで亀治郎の弁天小僧、段四郎の日本駄右衛門で日本各地を回る松竹大歌舞伎はこれ。)

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「團菊祭」のスターお二人。いよっ、ご両人!

今日の座席はかなり上の方、天井桟敷・・・だけど当たったチケットなので文句は言えない。
でやんでぇ、大向こうと言ってな、通の観客はここに座って「音羽屋!成田屋!」と掛け声をかけるんでい、と居直る。
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しかし、前列に座ったおばさんたちが、前かがみになって舞台に見入るのには閉口。場内アナウンスが、「他のお客様のご鑑賞の妨げになるので、身を乗り出してのご観劇はおやめ下さい。」と注意しても(この時ばかりは日本語が分からなくなり)どこ吹く風。知らんぷり。
ま、しょうがない。おばはんたちには敵わない。

それで、やっぱり今回の「團菊祭」夜の部、一番の見どころ、聞きどころは、
音羽屋(七代目尾上菊五郎丈)の浜松屋での(煙管を回しながらの)名乗り、
「知らざア言って 聞かせやしょう。
浜の真砂と 五右衛門が ・・・
・・・ ここやかしこの 寺島で、小耳に聞いた じいさんの、
さ、似ぬ声色で 小ゆすりかたり、
名せえ由縁(ゆかり)の 弁天小僧 菊之助たア 俺が事だ。」
ここは何回聴いても胸がすく。(おばさんたちの存在が気にならなくなる。)


最後に、最近咲いている忍冬(すいかずら)を二つばかり貼ります。
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(Nick@木挽町)

PS 今週分のUPが遅くなり済みません。

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